断章:花音の詩歌(1)





 夢を見ていた。
 血の予感とともにまだ見ぬ公主がいた。
 吾が紡ぐ夢は運命の片鱗。
 疾く去り、吾が手に残らず。



「どうなさったの」
 全てを包み込む年上の女が、そっと自分に語りかけてきた。
 どうやら数秒間、惚けていたらしい。
 彼女の柔肌から甘く香が煙り、感覚が鈍化してゆく。
「夢を……見ていた」
 掠れた声はまだ夢を彷徨い、しかし再度その内容を手にすることは叶わぬ。あれほど鮮明であったというのに、覚醒とともに急速に記憶は失せて、もう思い出せなかった。
「夢を……?」
 女───皇太子妃・泰桃珠は僅かに褥の上を身じろぎして、陽龍の貌を覗き見た。燭台は少なく、閨は薄暗い。しかし皇太子はこちらを見てくる泰氏の表情を確認することが出来た。どうやらあんな短い間に夢を見たという陽龍の言葉に、半信半疑のようだ。
 だがあれは数秒の記憶の混乱というよりも、顕かに夢であった。筋書きも、風景も、触感さえあった。
 あれは、もしやこれから出会うわたしの運命───。
 心はどうしても夢に跳ぶ皇太子を、その妃は見つめた。そして悔しそうに嘆息する。
「妾も殿下の夢を拝見しとうございますわ。お目覚めになられた殿下は、しばし現をお忘れになるのですもの」
「無理を言う」
 微苦笑して、陽龍は泰氏を抱き寄せた。
 泰氏が陽龍の妻になる前、二人は仲の良い幼馴染だった。その名残で、二人の関係は未だそのときのままである。泰氏は彼の妃に収まっても彼を弟扱いしたし、陽龍は彼女のことを“泰氏"ではなく、桃珠と呼び続ける。二人は勿論、家柄によって夫婦となったので恋愛感情はなかったが、訳の分からぬ女を嫁にするより、彼女が相手で良かったと陽龍は思っていた。
「明日……なのですね」
 泰氏は遠くを見つめながら言った。
 何かの冗談のような気がした。あの"考龍"が皇帝になるなんて。
 戴冠式を明日に控えている。
 悪政を敷いた先帝陽騎に代わり、陽龍の御宇がくる。



 栄芙明(えい・ふみん)という名家の娘がいた。
 数代前に南の異民族の血が交じったことにより、陽香を代表する黄民族よりも背が高く、茶色がかった髪を持つ、大変美しいまだ若い娘。彼女はその美しさゆえに、彼女は皇帝陽騎の後宮へ『昭儀』として嫁した。
 栄氏は生来驕慢で、自らの美しさに異常な誇りを抱いていた。──栄氏というのは、いうまでもなく芙明の呼び名である。陽香は夫婦別姓であり、嫁は婚家からは下の名前ではなく、実家の名に“氏”をつけて呼ばれる。つまり彼女は栄氏(栄一族から来た嫁)と呼ばれた。もっとも彼女は栄氏と呼ばれるよりも、栄昭儀という官名で呼ばれることを好んだのだが。
 当然のように天子から寵を得た栄氏。二十三歳の春には、すでに三人の皇子と一人の公主を産み落としていた。
 彼女の美しさは、天子の子を生むという名誉により、いっそう華やいでゆく。栄氏に目が眩んだ天子は、ついに歴史に残る昏帝となる。女禍を進んで撒き散らしたのは栄氏であったが、それは皇帝の力なくしてはありえぬ栄華であったのだから。
 栄氏はまず、『皇后』になろうとした。いくら皇帝の寵妃であるとはいえ、所詮彼女は昭儀という『九嬪』のひとりでしかない。『五妃』ですらないのだ。後宮の女たちは皇帝の妻であるといっても、結局は皇帝の臣下なので、彼女たちの序列はその官位によってはっきりと定められている。実質はどうであれ、栄氏の公式の地位は皇后のそれとは比較にならぬほどに低い。昭儀を母とする皇子は、皇太子にはなれぬのだ。
 栄氏はその座を欲するあまり、皇后を陥れた。
 彼女は、皇后が宦官や宮女、さらには実の兄とも関係していると、皇帝に讒言(ざんげん:中傷)したのだ。そして朝廷内では、皇后とその娘の公主が栄氏を殺すための厭勝(のろい)をしているという噂を流した。女色の溺れも甚だしい皇帝は、栄氏に言われるままに皇后を除した。
 よほど恨んでいたのだろう。栄氏はしかし、皇后と公主を市井(しせい:庶民のこと)に戻しただけでは満足しなかった。公主は県主に格下げされただけで、まだ皇帝の保護下にあったので手が出せなかったが、皇后には、密かに捕らえ残虐な刑を科した。唖になる薬を飲ませ、眼球をえぐり取る。日を置かず発狂したのを見計らい、手足をもぎ、酒樽に詰めて後宮のどこかの庭園に埋めた。
 そして栄氏は皇后となった。
 彼女の三男・考龍(こうりゅう)はこの事実を知ったとき、母親に恐怖し、罪の意識から寝込んだ。
 十日も寝込んだ後、考龍は―――夢を見た。
 それは予知夢というべき夢であった。自分がいつか皇帝の玉座に座るというのだ。
 皇帝になるのは長兄・陽藍(ようらん)であったはずだ。事実、栄氏が皇后になると同時に、陽藍は皇太子となったのだから。
 だが考龍は、自分が予知の力を持っていることを知っていた。不思議なことであったが、彼は幼い頃から度々、未来にことを予見してきた。それは常に夢という形で考龍の元を訪れるのだった。
 利発ながら、野心を持つには精神が脆弱すぎた幼い彼は、だからその玉座が兄から自分へと渡ることは信じたが、その過程は穏やかなものに違いないと思い込んだ。皇子としてはあまりに無垢すぎたのかもしれない。
 ますます栄氏に傾倒してゆく皇帝は、彼女の暴挙を黙認し、あげくに国政の大半を彼女に預けた。栄氏の貪欲さは、彼女を女の持てる権力の頂点に立たせた。しかしその貪欲さゆえに彼女は全てを失う。彼女の欲望は絶えることを知らず、その果てが女帝になりたいという野望であった。
 皇帝・陽騎は栄氏よりもずっと年上だった。また、日頃の不摂生のつけで病がちでもあった。陽騎のほうが栄氏よりも早く崩ずるのは顕らかであった。栄氏は陽騎の後を継ぐ、次期皇帝になろうと画策した。皇帝も、自分の死後のことには興味がなかったのか、むしろ積極的に手を貸した。
 彼女にとっての誤算は、あまりに急な陽騎の崩御であろう。計画は頓挫をきたす。皇帝の名乗りを上げるには、まだ時期尚早であった。
 一番の障害は、実子であるはずの皇太子・陽藍だった。このままでは、陽藍が皇帝に立つ。そうなれば玉座は二度と手の届かぬものとなるだろう。
 新帝を裏から操ることが出来たのなら、栄氏も女帝になることは諦めたかもしれない。しかし長男は貪欲な母親を嫌っており、しかも聡明であった。
 一度玉座に就けば、逆に自分を後宮から追放しかねない。
 焦った彼女は、まだ充分に家臣を掌握せぬうちから、長男に反逆罪を問うて皇太子位を廃し、そのまま処刑した。これは百官の知らぬところで行われた。
 次男の太伶は、兄と同じ轍を踏むまいと、陽香王朝の皇族の姓である『劉』を捨て、代わりに母の姓『栄』を賜りたいと申し出た。皇子としての身分を放棄し、栄氏の私生児として生きるという意思表示することによって、己の身を守ったのだ。そして彼は皇位継承権を失った。
 そして残るは三男・考龍だが、栄氏は彼には手を出さなかった。考龍は母である栄氏に常に恭順であった。裏切りの心配がなかったことで栄氏も彼を可愛がっていたのだ。自分が女帝となったあとに、皇太子の位を与えようと思っていた。
 栄氏は女帝の名乗りを上げ、自らを芙陽(ふよう)と称した。
 しかしやはり急ぎ過ぎたのである。
 日増しに増える反皇后派は、革命を起こした。寝殿を包囲され、夜着のままという恥辱に耐えて外にでた栄氏は、それでも毅然と、そして傲然と反逆者たちを見渡した。しかしその中に信じられぬ者の姿を見つけ、彼女はあまりに悲痛な驚きの声をあげた。脱力した栄氏は、促されるまま弱々しく退位の旨を宣し、女官に支えられてひっそりと寝殿に戻った。
 時代は新しい風を求め、子は親を裏切ったのである。
 考龍は国名を冠されて陽龍となり、皇太子となった。その数日後に皇帝に擁立される。
 登極(即位)した新帝は、号して炯帝。
 時の太史(国の記録をつかさどる官)は、史書に珍しくも感情的な一文を書き留める。太史の興奮をそのまま記したかのように。
 ─────劫を経て 此国 光明奉戴す
 炯帝と号されたこの仁君が最後の皇帝になるとは知る由もなく。民衆の歓喜とともに陽龍は君臨する。



*     *     *



 喪が明けるのを待たず、新帝・炯帝陽龍は栄皇太后によって腐敗し、悪臭を放つ国政を正すさまざまな詔(みことのり)を下した。
 横行著しい宦官・官吏。諌言の一つも口に出来ぬ宰相たち。新しい官吏を登用するにあたって、栄氏の息のかかった者を取り込むつもりも、このまま彼らを放置する気も、炯帝には全くなかった。彼らは次々に辺境に飛ばされ、又は処刑された。
 皇子時代の穏やかさをもう彼に見ること出来ない。それほどの血が流された。無視出来ぬ一大勢力を敵に回した際には、皇帝でありながら暗殺も行った。また泣いて許しを請う者にも温情なく、都のいたるところに罪人の首級が並んだ。
 誰もが彼の有能さを認めたが、その強引さや早急さを諌める人がいなかったわけではない。しかし若さゆえの焦りだと自覚しても、彼は先帝が汚したままの玉座に我慢ならなかったのだ。
 皇子時代からの妻・泰氏は、陽龍の苛立ちを理解し、切く思った。何かに急き立たされるかのように、臣を改め、法を改め、彼は何を目指すのだろう。
 父と母のようになりたくない、その一心で彼は身を削る。それはもとは優しい陽龍の本質とは相反する激しさ。
 尊敬する長兄が殺されなければ、彼は優しいままでおれた。変化せずとも暮らしてゆけたというのに。
(惨いこと………)
 泰氏は幼馴染である陽龍のために祈る。彼を幸せにできる女性が現れたらいいのに、と。



 その日、都・栄屯には朝から雪が降っていた。
 初雪である。手足が痛みを覚えるほどの冷気に冷やされ、大気は澄んでいた。吐く息が白く風に溶ける。
 白く雪化粧された庭園を横切って掛けられた長い道を渡る。陽龍は、後宮内でも特別に造られた母親の神殿から退出したところであった。お供の者は命じられて随分遅れてついて行く。正殿に戻れば、再び政務の続きをせねばならない。今だけでも一人で静かに考え事をしたかった。
 母親の顔を見るのは久しぶりであった。
 母───栄皇太后との対面はけして穏やかのものではなかったけれど、陽龍の心は自然と凪いだ。
 栄皇太后との最後の時間。永遠の別離を前にした対話。
(あの人は老いた………)
 四十代も半ばになるはずだったが、そうとは思えないほどに若々しい母だった。失意の中にあっても髪は黒々とし、肌には艶があった。もうけして若いとは言えぬ栄氏に、それでも先帝が他の女に目移りしなかったのは、その毒のある生命力ゆえではなかろうか。妖しく、また年を重ねてもなお美しい。しかし隠された溜め息や、瞳の奥の諦観の色に、若き皇帝は言いようもない老いを感じた。  しばらく考えに没頭していた陽龍であったが、彼が進む先の方向から、複数の人間がこちらに向かって近づいてくるのに気がついた。
 主人格の女が二人と、それに付き従う宮女の集団である。後宮では珍しくもない光景であったので、始め皇帝は気にもせずそのまま歩み続けた。女たちの方はそうもいかず、相手が陽龍と知った途端に悉く叩頭し、彼が通り過ぎるのを待った。この段になって、陽龍はようやく集団に見知った顔があることに気がついた。
 宮女を率いる二人の貴人は、それぞれ四十路前の女と、二十歳前後の娘であった。陽龍が知るのは、中年の方の女である。どこか母親に似た眼差しをする、豪奢に身を凝らした女。彼は女から目を逸らした。
(祉国夫人………)
 国夫人とは、皇族の女性を除けば女性の最高の称号であった。栄皇太后に似ているのも道理で、祉国夫人は彼女の妹である。
 以前なら、陽龍は彼女に丁重に声を掛けていた。皇太子であった長兄でさえも、そうせぬわけにはいかなかった。それほどの力を栄一族は持っていたのだ。しかし今では、陽龍が彼女たちに声を掛けることはけしてない。視線すら合わせない。
 一族の権勢が去った、最たる証しの如く。
 炯帝登極後、栄一族の多くが何らかの刑に処され、あるいは死んだ。しかしそれは男───つまり官吏たちであって、奢侈の限りを尽くした女たちはまだ手付かずであった。
(最後の挨拶か───余と同じように)
 彼女たちはあるいは気づいているのかもしれない。栄皇太后と二人の妹を含め、数人の女を極刑に処す詔の草案がすでに完成していることに。
 あと十数歩で擦れ違うところで、皇帝は初めて祉国夫人の隣で平伏する若い娘を見やった。感情が抜け落ちているかのように、その娘の様子は静かすぎた。思わず娘を観察しようと、歩みの速度を緩めてしまった、まさにその時。
 不意に娘が顔を上げた。
 はっとして皇帝は今度こそ本当に足を止めた。
 隠された娘の瞳が初めて晒される。
(─────っ!)
 娘の印象を覆すその勁さに、彼は束の間絶句した。
 それはまるで上質の黒曜石。
「娘」
 そうするつもりなど少しもなかったというのに、無意識に問うていた。
「名を何と申す」
 娘の唇の端が僅かに震えた。畏れというより、純粋な驚きゆえに。
 しかしそれも刹那。
 娘はすぐに淡々と短く答えた。
「―――青 春耶と」
青は祉国夫人の夫の一族の姓だ。そして春耶という聞き覚えのある名前。何故自分が落胆したのかを深く考えぬまま、陽龍は言った。
「そちの息女であったか」
「仰せのとおりでございます」
 思わぬ緊張の持続に恨めしそうに、祉国夫人は肯定した。
 陽龍は春耶の名前を知っていた。従妹なのだから当然だ。そして顔すら知らぬというのに、自分が処刑しようとしている娘の名でもあった。
 陽龍が春耶をいままで見たことがなかったのは、彼女がほとんど紀丹宮を訪れたことがなかったからである。毎週のように開かれる宴に、母親の祉国夫人が顔を出さぬ日はなかったというのに。
 娘らしい香りのせぬ、堅い雰囲気の彼女に何故か惹かれる。
 吾が後宮に召し上げられぬものか―――己の無意識の考えに気づき、陽龍は愕然とした。なんと愚かな思いつきか。
 後宮の編纂は後回しにされ、まだ何も決まってはいない。唯一確定しているのは、皇子時代からの妻である泰桃珠を高位に叙すことぐらいである。
 だからその考えは不可能ではなかった。しかし後宮は政の延長だ。そして政には私情を挟んではならない。父のようになりたくなければ、この己に科した誓い、破るわけにはいかぬ。
 栄一族の娘、しかも一時は処刑にすると決めた娘を何故妻になど出来る。
 分かっているのに、余はこの思いつきを諦め切れぬ。こんなに思い回らしてしまっている。
 逡巡する皇帝の長い沈黙に、春耶は再び目を伏せた。
 隠れてしまった双眸。
 瞬間、炯帝は訳の分からぬ衝動に駆られた。
 春耶が自分に対して大きな反応を見せぬことを許せないと思った。彼女が栄一族であること、自分が何も言えなくなったこと、彼女が何も言わないことまでも許せない。あるいはもっと単純に ―――そしてこれが最も強く思う―――彼女の瞳が見えないことが、許せない。
 これは天帝の定めた給うた天命であったのかと、命果てるとき炯帝は考える。廻る歯車の一つが私たちの邂逅ではないのか。賜った予知の力とともに、見えぬ糸に引き寄せられて。
 しかしそれはまだ先のこと。
 陽龍は初めての恋を知り、ただ動揺する。
 戸惑いは大きく、途方に暮れる。
 彼の身に宿る力か、単なる恋心ゆえか―――あるいはその両方によって、彼は彼女の前を立ち去れない。
 若き皇帝と栄一族の血を引く娘の外で、雪花が舞う。
 あまりに長く立ち尽くしたせいであろうか。皮膚が冷えきって強ばっている。祉国夫人は皇帝の様子を不審に思って、そわそわしだしたというのに、春耶に表情の変化はない。
 自分を見てほしいを彼は切望する。
 そして口を開く。十分な根回しも確信もなく。
「吾が後宮へ来い。皇后にしてやろうぞ」



*     *     *



 この世の何処にも、彼女の心を波立たせるものなどあるはずがなかった。
 何に対しても醒めた目でしか見れぬ女は、しかし皇后になるという予言とともに、この世に生を受けた。
 だが彼女は頑ななまでに権力を避ける。なるべく華やかな場から遠ざかり、何の悦びもないまま、ひっそりと彼女は成長する。
 ───十九歳の初冬、彼女の母親の言葉が彼女を破った。
 『新帝により、死を賜ることとなった』
 死の恐怖はさほどなかった。生に対する執着も。
 しかし彼女は皇帝と出会う。
 運命に絡みとられる。
 眼差しの鋭さ。
 孤独を纏う、刹那的な烈しさ。
 若き皇帝の峻厳なる道に引き摺られる。
 運命を………信じる。
 彼女はその出会いに驚愕し、己が名を問われたときはさらに驚いた。しかし皇后になれと言われたときにはすでに驚きはなく、受けいていた。
 これは相手が自分に抱く感情とは違うけれど。
 それでもわたくしは陛下の側へと。
 春耶の初めての強い願いは、国を変える程の力を持って天を廻す。
 炯帝陽龍、二十二歳のときである。



 栄皇太后はその妹・祉国夫人とともに、開輪元年の暮れに死を賜る。諡(おくりな)を生前の悪行から『攪天正妃』とされた。
 明けて新年、皇帝は青春耶の戸籍を栄一族から公然と抜いた。母方の栄一族は駆逐されるべきであったが、父方の青一族には問題はない。春耶は父方の伯父夫婦の養女となった。これで彼女は戸籍上では栄皇太后との繋がりはなくなり、炯帝は体裁と整えたのだ。
 短い喪が明け、新帝の後宮が編纂され、春耶は皇后位に推挙される。
 これらの動きはあまりに速やかに行われ、炯帝の風評に小さからぬ疵をつくることになった。しかし 皇后は、栄皇太后の姪でありながらも私生活は慎ましく、驕らずよく夫に仕えたので、やがて人々にも受け入れられる。
 しかし望まれながらも未だ、御子の誕生はない。










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